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背景モデルデザイナーの入社1年の振り返り

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この記事は約10分で読めます。

はじめまして。背景モデルデザイナーの本田です。
2023年の4月に新卒社員として入社いたしました。

プロジェクトに入る前とプロジェクトに入った後で行っていたことについてソフィアちゃんとインタビュー形式で、これまでの1年間を振り返っていこうと思います。

プロジェクトで主に担当させていただいたのは、『ファッションドリーマー』の「ショールーム」の家具と「フォトアイテム」になります。

研修について

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

よろしくお願いいたしますっ!
早速ですが、プロジェクトに入るまではどんなことをしていましたか?

立田さんも概要に少し触れていましたが、4月中旬から末までは、職種別研修ゲーム制作がありました。
5月から9月上旬までの約4か月間をかけて、古民家の制作研修をしていました。
線画のレイアウトを元にMaya内で「3Dレンダリング」画像を出力するまでが研修を達成できる条件でした。
明治、大正で生活していた時代のものを想定に製作していました。
使用ツールは、Maya、Photoshop、Substance Painterです。
カラーテクスチャのみでテクスチャを作成することが条件です。

【3Dレンダリング】
3DCGデータをコンピュータによって画像に変換する工程のこと。

完成させるまでにいろんな課題がありました。以下が主な課題となります。

  • レイアウトのオブジェクトのサイズとオブジェクトの現実寸法は、大きさのバランスがとれているか?
  • テクスチャの比率がオブジェクトの大きさに対して違和感ないか?
  • UVが伸びていないか?
  • メッシュに不具合がないか?
  • 指定のポリゴン数に収まっているか?
  • データが整理されているか?
  • 丸みはしっかり作れているか?
線画からどんな小道具なのか資料を調べながら作っていました。
情報を引き出しやすい調べ方や共通点の見つけ方、時代の統一感とは何かを知るきっかけになったと思います。
また、オブジェクト単体の視点に移ってしまって、作ろうとしている全体のイメージが迷走してしまったことがあったので全体を意識するきっかけにもなりました。
「プロジェクトに携わりたい」という気持ちが強くあったため、「チェッカー」が求める条件を達成できるように試行錯誤して完成させることができました!
【UV】
3Dモデルのポリゴンの表面上にテクスチャを表示させるための型取りのようなもののこと。
【チェッカー】
作成物をチェックし、品質を管理する役割の人のこと。
今回では、上司がチェッカーとなる。
ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

研修で完成させた作品を見せていただきましたっ!

古民家の夕方シーン

古民家の夕方シーン

古民家のUnityシーン

古民家のUnityシーン

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

よく注目すると、机から見て右奥にあるかまどに火の明かりが見えますね!

コンセプトは夏の夕方です。
強い日差しが扉から入っていることが条件で制作いたしました!
夕方のシーンはPhotoshopで「レタッチ」したものになります。

【レタッチ】
3DCGだと、3Dレンダリング画像をPhotoshopなどの画像編集ツールを使用して色調補正したり、不要な箇所の除去・合成したりする作業工程のこと。
最終仕上げの工程になる。
ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

完成させてみて、いかがでしたか?

上司から「すごい!」とお褒めの言葉をいただきました!
社内チャットツールの背景チャンネル内で発表したところ先輩方のリアクションが良かったことがあり、達成感がありました。

ライティング

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

シーンを再現するためにどんなところに力を入れてましたか?

私は映画鑑賞の時にライトの演出に注目して鑑賞するので「ライティング」に特に力を入れていました。

【ライティング】
3DCGで作った仮想空間の時間や季節など舞台環境を表現する作業工程のこと。
視線誘導をしたいときにも使われる。仕上げに近い工程になる。

チェッカーが求める条件は以下のようなことでした。

  • ライトを配置しすぎて、陰影が消えた平面的な見た目になっていないか?
  • 光源を意識した影が描画できているか?
  • マテリアルが設定されているか?

条件を達成するために主に使用していたライトは「エリアライト」でした。
なぜエリアライトなのかというと、柔らかい光を作ることができるからです。
太陽の光に対する反射を意識することで室内の光をより自然に表現することができました。
ライトは、強度が強いほど影が濃くなり、弱くすると影が弱くなる特徴があります。
ライトの特徴を踏まえながら光の強さや影色やライトとオブジェクトとの距離などで陰影を調整することが難しかったです。

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

このシーンにおけるメインはどこですか?

「机」です!
画面を占める面積が大きいためです。
机に扉からの光があたる面積を増やしたり、窓からの光が差し込む面積を作ることによって机に目がいくように
ライトの角度を調節しました。

ライトがない場合とある場合の違い

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

ライトがない場合とある場合の比較画像を見せていただきました!

ライトがない場合とある場合の比較

ライトがない場合とある場合の比較

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

画像左のようにライトがない場合は、影の暗さで棚の中の木箱や壺など、どんな物が部屋に置いてあるのか確認しにくいことがわかりますね。

Unityに出力したものについて

今回、Maya内で作成した古民家のデータをUnityに出力しました!

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

Unityに出力しようとしたきっかけは、ありましたか?

当初、予定は入ってませんでしたが、他職種の先輩から「VR空間」の話が挙がったことがきっかけです。
古民家で夜のライティングもレンダリングしましたが、夕方のシーンが一番気に入ったのでこちらのシーンをUnityに出力しました。

完成した作品を先輩からお借りした、VRゴーグルを使用して鑑賞することできました~!
PC上でモニターを通して製作しているので大きさがイメージしにくかったのですが、VR空間だと目の前に製作したモデルが見えるためサイズ感を体感できました!
机と窓は、想定していたよりも高さがあったので驚いた記憶があります。
先輩の席でVR体験をしていたため、周りの席の方々も興味を持って集まってくださいました。
職種関係なく盛り上がった良い思い出です。

プロジェクトに入って感じたこと

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

プロジェクトと研修で差はありましたか?
対策していたことがあれば教えてほしいです!

プロジェクトと研修では、データの環境作りや、世界観が違ったことにより目指さないといけない「見映え」に差がありました。
また、研修と違ってプロジェクトには、「仕様」というものが存在します。
仕様には、品質を保たせるために必要なルールがたくさん記載されています。
MayaやUnityなどデータのルールで覚えないといけないことがたくさんありました。
ドキュメントでチェック項目を作成し、「実装」の際に見落とさないように対策していました。

担当したものについて

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

プロジェクトに入って、初めて担当したのは何でしたか?

フォレストトルソー

フォレストトルソー

ショールームの家具の「フォレストトルソー」です。
「UVスクロール」といった、テクスチャアニメーションが適応したモデルを作成いたしました。

【UVスクロール】
アニメーションさせたいUVにテクスチャをずらすことで動いているかのように見せる技術のこと。

UVスクロールは未経験でしたが、先輩からアドバイスをいただきながらなんとか完成させることができました!
水の動きはランダム感を表現するために波の大きさや形がそれぞれ変化して見えるようにテクスチャを描きました!水の動きに注目して鑑賞してくださったら嬉しいです。

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

印象的だったアイテムはありますか?

くまさん

くまさん

フォトアイテムの「くまさん」は、ユーザーさんからの反応が良かったので、驚きました!
デザイン画のかわいい印象が崩れないように、お顔や体の丸みを大切にしながら制作していました。

くまさんの目の比較

くまさんの目の比較

お顔は一番注目を集めるところですので、お顔の印象は特に注意して製作していました。
画像はくまさんの目の大きさを比較したものになります。
実際のぬいぐるみだと目の部分は立体感がありますが、それを再現してしまうと横顔の時の目が不気味に見えてしまうため、目はなるべく平らにして作っています。

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

こだわりの小ネタは何ですか?

レトロなでんわ

レトロなでんわ

フォトアイテムの「レトロなでんわ」の構造ですね。

受話器

受話器

受話器の受話部と送話部の凹みの広さが上と下でそれぞれ違います。
ゲーム上だとキャラクターの耳で隠れてしまって確認できないと思います。
テクスチャはアートさんが描いてくださったのですが、「受話器に穴を描いてほしい」と頼んだところ、それぞれ穴の数が違うところまで表現してくれました!!

レトロなでんわの背面

レトロなでんわの背面

また、本物のレトロな電話の背面には手を引っかけるところがあるのですが、モーションで持っている手の位置とは関係なく、その引っかけるところを再現しています。
こちらもゲーム上だとキャラクターの体で隠れてしまって確認できないと思います。
本物の構造に追及して製作することがこだわりです。

ゲーム開発を通して感じたこと

「デバッグ」など開発を通して、アートさん、UIさん、モーションさん、プランナーさんなど様々な職種の方々と関わる機会がありました。
初めてプロジェクトに入ってみて、同職種のみで完結するかと思っていましたが、幅広い職種の方々と関わりがあることがわかりました!

また、ゲーム開発を通して大事だと思ったことは少しでも気になるところがあったらまずは聞いてみることだなと実感しました!
聞いてみないとわからないことはたくさんあると思います。
聞いてみた結果、クオリティアップにつながったり、相手から感謝されたりすることがありました。
なので、悩むよりも行動してみた方が良い結果につながりやすいと思います。

最後に

ソフィアちゃん
ソフィアちゃん

初めてブログを書いてみていかがでしたか?

過去に鈴木さんが「ブログを書くことは良い経験になると思うよ。」と仰ってくださったことがありました。
今回お声がけがあり、そのお言葉が忘れられなかったのでチャンスだと思い、参加させていただきました。

1年を振り返ってみると、たくさんの経験をしていたことに気がつきました。
学生の頃と比べると入社してから得た知識、技術の方が大きいなと感じています。

初めてのことばかりの経験でしたが、私にとっては、この1年は大きな成長でした!

背景とはいっても、キャラクターが使うアイテムを製作したり、家具を製作したりと背景のお仕事は幅広いかと思います。

「背景モデルデザイナー」の新卒社員がどんな1年を送ったのか、少しでも参考になったら嬉しいです。
『ファッションドリーマー』を遊んでくださるユーザーの皆さまにも楽しめる内容になっていましたら、良いなと思っています。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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